ここ最近、「コンテンツマーケティング」や「インバウンドマーケティング」というキーワードを多く見かけるようになりました。
Google の至上命題である「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです。」というフレーズがそのすべてを物語っていますが、ユーザにとって役に立つコンテンツやコンテキストを「どれだけ、どのように、どのくらいの頻度で」提供するのかを求められるようになりました。
(つまり、小手先の SEO 対策は一切通用しなくなりつつあります)
そしてその情報の受け取り手でもある私たちは、それらの有用な情報を検索から得て、日々の生活を豊かに便利にしています。
そんな中で、恐らくこれからもしばらく活躍するのが「読むこと」と「書くこと」でしょう。
これは人間の五感のうちの「視覚」が重要であるということです。
「視覚」優位の時代に
文字(テキスト)情報を読むことで、理解し学習し活用するという情報取得プロセスはインターネットがない時代からありました。その基本思想は特に変わっていません。
しかし、問題はその量です。現在、その量は恐らく何十倍にも、何百倍にもなっているのではないでしょうか。インターネットには良くも悪くも膨大な量の情報が掲載されています。受け手のリテラシーが問われるようになりました。
参考:Cisco Visual Networking Index:全世界のモバイル データ トラフィックの予測、2013 ~ 2018 年アップデート
http://www.cisco.com/web/JP/solution/isp/ipngn/literature/white_paper_c11-520862.html
すでに日々の私たちの生活では、
- スマホやタブレットで移動中に文字を読む
- 家の中でもスマホやタブレットで文字を読む
- 口頭での会話ではなく、LINE などのメッセンジャーでやり取りする
といったことが当たり前になっています。AIスピーカーも台頭してきましたが、いまだ圧倒的に多いのはテキスト情報です。
また一方で、当然と言えば当然ですが「書く」機会も爆発的に増えています。
つまり、「読むこと」と「書くこと」の日常生活に占める割合がますます大きくなり、重要になっていると言うことです。
直接会うよりも電話で、電話をするよりもメールで、メールをするよりもメッセンジャーでというようにコミュニケーション手段の変化も当たり前になっています。直接会っていても会話をせずにLINEやメールでということもよく聞く話です。
またこの記事も「書くこと」によって情報を発信しています。
読み手は「読むこと」によって自らの考えを巡らせて、共感したりまたその逆を感じたりしています。冒頭の「コンテンツマーケティング」や「インバウンドマーケティング」はまさにこの「読むこと」と「書くこと」がベースになっています。
マスメディアだけではなく個人ベースで「書くこと」「読むこと」が主となっています。
- 顧客へのアプローチの方法が「書くこと」に変わっています。
- サービス提供者の選定が「読むこと」に変わっています。
例えば、ECサ イトならこれで受発注が完結しますし、一切リアルの場で合わなくても何も問題ありません。結局のところ、「視覚」を意識しているかどうかがより重要になっており、それをないがしろにはできないということです。完全に「視覚優位」の状態です。
あなたの言葉や文字が武器になる
今の時代はこれまで以上に「ペンは剣よりも強し」を体現するような時代です。言葉は時に人を傷つけ、そして時に人を癒すこともできます。
乱暴な言葉を使う人、優しい言葉を使う人など、さまざまですが周囲はその「言葉」を聞いて人柄を判断します。(本質的には行動を見ますが)
そうであれば、この「書くこと」を疎かにすることなく、技術を習得していかなければなりません。
弊社のコミュニケーションサービスのひとつである翻訳・ローカライズサービスも同じです。
「何となく日本語になっていればいい」レベルで済むドキュメントなら何も問題ありませんが、そうでない場合は、しっかりと翻訳しないといけません。少し想像してみてください。
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もしクライアントが電車の中で貴社のドキュメントを読んでいたら?
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もし新規客が自宅のソファで貴社のサイトを読んでいたら?
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もし見込客が貴社と他社の資料を読み比べていたら?
彼らが受け取るのは文字情報です。そこに書かれている条件や仕様もさることながら適当に書かれた(翻訳された)言葉で彼らをこちらに振り向かせることができるのでしょうか?
残念ながらそれでは上手く行かないのは明白です。適当な品質の文章は、適当な製品やサービスしか連想させないからです。
しかし、逆に文章でひきつけることができたら?
これだけ多くの情報が氾濫する中で、同じような製品、同じような商品、似たようなサービスがあれば、選択する側から見ると、もしかしたら「書くこと」で簡単に他社と差がついてしまうかもしれません。製品やサービスの根底に流れるストーリーが見えれば、顧客は惹きつけられるのです。
「書いている人」と「書いていない人」には埋められない差ができる
現状をピンチと捉えるか、チャンスと捉えるかはその人次第ですが、実際に、「書くこと」を続けている人とそうでない人にはこれから確実に差がついてきます。
当たり前すぎる話です。書いていれば段々文章が上手になりますし、書いていなければ(恐らくその時間は読んでいるだけ)上手くはなりません。
翻訳も作業をする中で上手になっていく、つまり熟練の域になってきますが、やらなければ上手くなりようがありません。文章を書くことは、日々の積み重ねでしかないのです。
すべて当たり前のことばかりですが、この地道な作業の繰り返しが、ネット上では大きな力の差となって現れるのは間違いありません。
では、今何をすべきなのか
繰り返しになりますが「読むこと」と「書くこと」は人間の根本的な活動のひとつです。スマホやタブレットを使わない日はありません。誰もが読み手となり、書き手となる時代です。
人間の五感である嗅覚や味覚については、ネットではこれからですから、それまでは読むこと、書くことが優位(視覚優位)な時代は続くでしょう。
そこで個人として、企業としてどんな振る舞いをするのか、どんな表現をするのかが問われ続けることになります。
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どんなコンテンツを持っているのか
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どんなコンテキストで伝えていくのか
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どんな手段でそれらを表現するのか
当たり前のことを意識するかしないか、それが今後の自身の行動に現れるのですから、気づく人は気づき、変わっていくのです。そして、視覚はさらに「見ること」にシフトし始めています。そう、つまり「動画」です。シスコシステムズのレポートでも「トラフィックは2018年に1.6ゼタバイトまで増加し、また同年にはIPトラフィック全体の79%が動画コンテンツ」と記載されています。
参考:ゼタバイト時代:トレンドと分析http://www.cisco.com/web/JP/solution/isp/ipngn/literature/VNI_Hyperconnectivity_WP.html
急速にそんな時代を迎えつつ、これからは人間の五感(視覚、そしてゆくゆくは嗅覚や味覚)などに訴える方法が出現するのではないでしょうか。
読み書きができないビジネスマンは、本当に取り残される時代が始まっていると言えます。
トライベクトル株式会社 代表取締役。会社経営 19年目。翻訳・ローカライズ業界24年。翻訳・ローカライズ実績年間10,000件以上。
現在は BtoB (特に IT 企業)専門のマーケティングサポート(動画や導入事例などのコンテンツ制作全般)と言語サービス(翻訳、オンライン通訳、英会話、e-learning 講座等)を行っています。